DFDとは
DFDは、データがどこから来て、どこを経由し、どこへ行くかを一枚で描いた図です。
データの流れを矢印で表した図
DFD(Data Flow Diagram、データフロー図)は、業務の中をデータがどう流れていくかを描いた図です。顧客から営業システムへ、営業から倉庫システムへ、倉庫から会計システムへ――こうしたデータの動きを部署やシステムを跨いで一枚に表します。業務フロー図が「人や仕事の流れ」を描くのに対し、DFDは「データそのものの動き」を描きます。データ視点で業務を見直すための基本図です。
こんな場面で使う
DFDはシステム間連携の検討と業務改善のデータ視点での分析で特に活躍します。複数のシステムを連携させるとき、どのデータがどこを経由するかを最初に整理する必要があります。また業務改善では「データが手入力で渡されている」「同じ情報を3部署で入力している」といった非効率を、データ視点で発見できます。ER図が「データの構造」、DFDが「データの動き」を扱う、と覚えると整理しやすいです。
4つの記号だけで描ける
DFDに必要な記号は、外部エンティティ(矩形)・プロセス(円)・データストア(上下の横線)・データフロー(矢印)の4つだけです。記号がシンプルなので、ホワイトボードでも描けます。データが動く全体像を把握することが目的なので、細かい記法に拘る必要はありません。
DFDの4つの要素
外部エンティティ・プロセス・データストア・データフローの4つで描けます。
外部エンティティ — データの出入口
外部エンティティは、システムや業務範囲の外側にあって、データの出入口となる存在です。顧客、取引先、銀行、外部システムなどが該当します。矩形で描くのが慣習です。外部エンティティを置くことで、業務の境界が明確になります。「自社で扱う範囲はここまで」「ここから先は外部」を視覚化できるのが重要なポイントです。
プロセス — データを処理する場所
プロセスは、データに対して何らかの処理を加える場所を表します。受注処理、在庫引当、請求処理、入金消込などが該当します。プロセスは円で描き、中に処理名を入れます。プロセスを通るデータは必ず形を変えます(入力データと出力データが違う)。プロセス名は「○○処理」「○○計算」のように動詞的に書くのが慣習で、何が起こる場所かを明確にします。
データストア — データの保管場所
データストアは、データが保管される場所を表します。顧客マスタ、商品在庫、取引履歴などのデータベースやファイルが該当します。上下に横線を引いた記号で描き、中にデータストアの名前を書きます。データストアを置くと「このデータはどこに溜まっていくか」が見える化でき、データの正本がどこにあるかを関係者で共有できます。
データフロー — データの動きを表す矢印
データフローは、データが移動する流れを表す矢印です。矢印の上には流れるデータの名前を必ず書きます。「注文」「在庫照会」「請求書」のように、何のデータが動いているかを具体的に明記します。データフローは外部エンティティ・プロセス・データストアの間を結び、業務全体を1枚で動的に表現します。
DFDの3ステップ
外部エンティティを書き、プロセスとデータストアを配置し、矢印でつなぐ3ステップで描けます。
ステップ1 — 外部エンティティを最初に書き出す
まず業務の境界を決めるため、外部エンティティを書き出します。顧客・取引先・銀行・外部システムなど、自分たちの業務範囲の外側にあるものを全て洗い出します。境界が決まっていないと、どこまでを描けばいいかが定まりません。「自社の範囲はここまで」と決めることで、図の対象範囲が明確になり、無駄に大きな図になるのを防げます。
ステップ2 — プロセスとデータストアを配置する
次に、業務の中で行う処理(プロセス)と、データを保管する場所(データストア)を配置します。プロセスは「受注処理」「在庫引当」のように動詞的に書き、データストアは「顧客マスタ」「取引履歴」のように名詞で書きます。配置はだいたいで構いません。後から矢印を引きながら、見やすい位置に動かしていきます。プロセスは5〜10個程度に収めると見やすくなります。
ステップ3 — データフローを矢印でつなぐ
最後に、データの動きを矢印で表します。矢印の上には流れるデータの名前を必ず書きます。「注文情報」「在庫データ」「請求書」のように具体的に。書き終わったら、矢印が出ていないプロセス(出力がない処理)、矢印が入っていないプロセス(入力がない処理)がないかを確認します。これらは現実にはあり得ない構造なので、何かが抜けているサインです。
DFDを活かすコツ
データの二重入力と滞留を発見でき、システム連携の設計図として使えます。
データの二重入力と滞留を発見する
DFDを描くと、データに関する典型的な問題が浮かび上がります。二重入力(同じデータを複数の場所で手入力している)、データの滞留(あるプロセスに入ったまま次に流れない)、不要なデータの保管(誰も使っていないデータストア)など、業務改善のヒントが具体的に見えてきます。「ここをシステム連携すれば1日30分の手入力が消える」のような発見が、自動化や効率化の出発点になります。
システム連携の設計図にする
DFDは複数のシステムを連携させるときの設計図として最適です。「どのデータが、どのシステムから、どのシステムへ流れるか」を整理してから連携を設計すると、後からの手戻りを大幅に減らせます。逆に、DFDなしで連携を進めると「あれ、このデータどこから来るんだっけ?」「ここで二重に持つ必要ある?」といった混乱が必ず起こります。ベンダーとの会話でも、DFDを共有すると要件伝達がスムーズに進みます。
データリネージ図
データリネージ図は、DFDをデータ自体に特化させた発展形です。
DFDとの違い — データを主役にする
データリネージ図はデータ自身を主役にした図解で、業務プロセスは描きません。DFDが「人や業務がデータを扱う流れ」を描くのに対し、リネージ図は「データがどこから来て、どう加工され、どこへ行ったか」だけを追跡します。データマネジメントの世界で標準的に使われる用語で、DAMA-DMBOKという国際的な体系にも定義されています。
こんな場面で使う
データリネージ図は、個人情報の追跡、システム統合の検討、データ品質の調査などで活躍します。GDPRや個人情報保護法への対応で「このデータはどこから来てどこに使われているか」を示す必要がある場面でも必須です。社内のExcelやデータベースが増えてデータの出所が追えなくなってきたら、この図で整理し直すと一気にスッキリします。
まとめ
DFDの描き方と活かし方、応用形のデータリネージ図まで解説しました。
- DFDは、データがどこから来てどこへ行くかを描いた図
- 必要な要素は外部エンティティ・プロセス・データストア・データフローの4つ
- 外部エンティティで境界を決め、プロセスとデータストアを配置し、矢印でつなぐ3ステップで描ける
- データの二重入力や滞留を発見でき、業務改善の出発点になる
- システム連携の設計図として、ベンダーとの会話でも活用できる
- 応用形の「データリネージ図」は、データ自身の来歴を追うデータ管理向けの発展形
これらを理解し、まず受注業務など主要な1業務でDFDを描いてみると、データの動きとそこに潜む非効率が一気に見えてきます。ジョブらくでは、データの流れの整理と業務連携の最適化を支援するコンサルティングを提供しています。「データが部署をまたぐたびに止まる」という方は、お気軽にご相談ください。


コメント