ER図とは
ER図は、社内のデータ同士がどう関係しているかを一枚にまとめた図です。
データ同士の関係を線で結んだ図
ER図(Entity-Relationship Diagram)は、社内で扱うデータの種類(顧客・案件・商品など)と、データ同士の関係を線で結んだ図です。各データを矩形で表し、矩形の中にそのデータが持つ項目を並べます。1つの顧客に複数の案件が紐づく、1つの案件に複数の取引が紐づくといった1対多の関係を線で表すことで、データ全体の構造が一目で分かります。
マスタ整理の基本図
ER図はマスタ(顧客マスタや商品マスタなど、業務の基本となる固定情報の一覧)の整理に必須の図解です。社内で同じデータがバラバラに管理されているとき、ER図を描くことで「本来の正しい構造」を設計できます。新規システムの導入や、社内データの統合プロジェクトなど、データを軸にした取り組みでは必ず最初に描きます。
経営層こそ読めるようにしたい
ER図はエンジニア向けと思われがちですが、経営層・管理職こそ読めるようにしたい図解です。「自社が何を、どんな粒度で管理しているか」を最短で把握できるからです。ベンダーや情報システム部門から提案を受けるときに、ER図を読めるかどうかで議論の深さが大きく変わります。記号は限られているので、慣れれば誰でも読めるようになります。
ER図の3つの要素
エンティティ・属性・リレーションの3つで、データの全体構造を表現できます。
エンティティ — データの種類
エンティティは、業務で扱うデータの1つの種類を表します。「顧客」「案件」「商品」「取引履歴」のように、現実世界の1つの概念に対応します。エンティティは矩形で描き、上部に名前を書きます。1つのエンティティは1つの種類だけを表し、「顧客と案件」のように2つを混ぜたエンティティは作りません。粒度を間違えると、後から修正が大変になります。
属性 — エンティティが持つ項目
属性は、各エンティティが持つ個別の項目です。顧客なら「顧客名」「業種」「連絡先」、案件なら「案件名」「金額」といった項目を矩形の中に並べます。属性の中で特に重要なのが主キー(PK)で、その行を一意に特定するための識別子(顧客IDなど)を1つ決めます。「同姓同名がいたらどう区別するか」を考えるとき、主キーの設計が物を言います。
リレーション — エンティティ同士の関係
リレーションは、エンティティ同士の関係を線で表したものです。「1人の顧客が複数の注文を持つ」「1つの注文に複数の商品が含まれる」という関係を、線と「1:N」のラベルで表します。Nが付く側のエンティティには、相手側を参照するための外部キー(FK)を持たせます。注文と商品のように「複数の注文に同じ商品が含まれる」N:M関係は、間に中間テーブル(注文明細など)を挟んで1:Nの関係2つに分解します。これはER図の設計力が問われる典型場面です。
ER図の3ステップ
エンティティを書き出し、属性を入れ、リレーションでつなぐ3ステップで描けます。
ステップ1 — エンティティを洗い出す
まず業務で扱うデータの種類を全て書き出します。「顧客・案件・商品・取引履歴・社員・部署」のように、現実世界の1つの概念を1つのエンティティにします。最初は重複や粗さがあって構いません。書き出した後で「これは別物として分けたほうがいい」「これは1つにまとめられる」を整理します。10〜20個程度に収まるのが、見やすさの目安です。
ステップ2 — 各エンティティに属性を入れる
次に、各エンティティに必要な属性を入れます。顧客なら「顧客ID(PK)・顧客名・業種・連絡先」のように、業務で使う項目を全て並べます。属性の数が多すぎる場合は、「本当にこのエンティティの属性か?別エンティティに分けるべきか?」を見直します。主キーは必ず1つ決め、他のエンティティと関連付くときは外部キーを設けます。
ステップ3 — リレーションを線でつなぐ
最後に、エンティティ同士の関係を線で結びます。「顧客1人に対して案件は複数(1:N)」「案件1つに対して取引履歴は複数(1:N)」のように、関係の数(1対1、1対多、多対多)を明示します。多対多の場合は、間に中間エンティティを置く必要があります。書き終わったら、関連付いていないエンティティ(孤立データ)がないかを確認します。
ER図を活かすコツ
データの重複発見、システム間連携の検討、業務改善のすべてに使えます。
データの重複と分散を発見する
ER図を描くと、社内に同じデータが複数の場所で管理されているデータの重複が浮かび上がります。「営業部の顧客リストと、サポート部の顧客リストが別物になっている」のような状況は、ER図にしてみないと気づきません。重複が見つかったら、どこを正本(マスタ)にするかを決めて統一する作業が、業務改善の大きな一歩になります。
システム連携と業務改善の地盤になる
ER図はシステム連携の設計にも欠かせません。複数のシステムを連携させるとき、「どのデータを共有し、どのシステムが正本を持つか」をER図で整理してから設計します。業務改善の場面でも、「この業務を効率化するには、どのデータを揃えれば良いか」をER図から逆算できます。データが整っていない業務は、いくら自動化しようとしてもうまくいきません。
まとめ
ER図の描き方と活かし方を解説しました。
- ER図は、社内のデータ同士の関係を一枚にまとめた図
- 必要な要素はエンティティ・属性・リレーションの3つ
- 主キー(PK)と外部キー(FK)でデータの一意性と関連を表す
- エンティティを書き、属性を入れ、線でつなぐ3ステップで描ける
- データの重複と分散を発見でき、システム連携や業務改善の地盤になる
これらを理解し、まず主要なマスタ(顧客・商品など)だけで1枚描いてみると、データ管理の課題が一気に見えてきます。ジョブらくでは、データの整理・統合を支援するデータマネジメントコンサルティングを提供しています。「社内データがバラバラで困っている」という方は、お気軽にご相談ください。


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