【ER図!】データ同士の関係を描く

この記事ではER図の描き方と活かし方を解説します。
社内に散らばるデータを一枚に整理でき、システム設計とデータマネジメントの地盤を整えられるようになります。

目次

ER図とは

ER図は、社内のデータ同士がどう関係しているかを一枚にまとめた図です。

ER図の例:受注業務(N:M関係を中間テーブルで解決) 顧客 顧客ID(PK) 顧客名 業種 担当営業 連絡先 注文 注文ID(PK) 顧客ID(FK) 注文日 納期 合計金額 注文明細 明細ID(PK) 注文ID(FK) 商品ID(FK) 数量 小計 商品 商品ID(PK) 商品名 単価 在庫数 仕入先 1 N 1 N 1 N ★中間テーブル 注文と商品のN:M関係を1:Nに分解する PK=主キー FK=外部キー(赤字) 1:N=1対多の関係
ER図のサンプル。顧客・注文・注文明細・商品の4エンティティ。注文と商品のN:M関係を中間テーブル「注文明細」で1:Nに分解している

データ同士の関係を線で結んだ図

ER図(Entity-Relationship Diagram)は、社内で扱うデータの種類(顧客・案件・商品など)と、データ同士の関係を線で結んだ図です。各データを矩形で表し、矩形の中にそのデータが持つ項目を並べます。1つの顧客に複数の案件が紐づく、1つの案件に複数の取引が紐づくといった1対多の関係を線で表すことで、データ全体の構造が一目で分かります。

マスタ整理の基本図

ER図はマスタ(顧客マスタや商品マスタなど、業務の基本となる固定情報の一覧)の整理に必須の図解です。社内で同じデータがバラバラに管理されているとき、ER図を描くことで「本来の正しい構造」を設計できます。新規システムの導入や、社内データの統合プロジェクトなど、データを軸にした取り組みでは必ず最初に描きます。

経営層こそ読めるようにしたい

ER図はエンジニア向けと思われがちですが、経営層・管理職こそ読めるようにしたい図解です。「自社が何を、どんな粒度で管理しているか」を最短で把握できるからです。ベンダーや情報システム部門から提案を受けるときに、ER図を読めるかどうかで議論の深さが大きく変わります。記号は限られているので、慣れれば誰でも読めるようになります。

ER図の3つの要素

エンティティ・属性・リレーションの3つで、データの全体構造を表現できます。

エンティティ — データの種類

エンティティは、業務で扱うデータの1つの種類を表します。「顧客」「案件」「商品」「取引履歴」のように、現実世界の1つの概念に対応します。エンティティは矩形で描き、上部に名前を書きます。1つのエンティティは1つの種類だけを表し、「顧客と案件」のように2つを混ぜたエンティティは作りません。粒度を間違えると、後から修正が大変になります。

属性 — エンティティが持つ項目

属性は、各エンティティが持つ個別の項目です。顧客なら「顧客名」「業種」「連絡先」、案件なら「案件名」「金額」といった項目を矩形の中に並べます。属性の中で特に重要なのが主キー(PK)で、その行を一意に特定するための識別子(顧客IDなど)を1つ決めます。「同姓同名がいたらどう区別するか」を考えるとき、主キーの設計が物を言います。

リレーション — エンティティ同士の関係

リレーションは、エンティティ同士の関係を線で表したものです。「1人の顧客が複数の注文を持つ」「1つの注文に複数の商品が含まれる」という関係を、線と「1:N」のラベルで表します。Nが付く側のエンティティには、相手側を参照するための外部キー(FK)を持たせます。注文と商品のように「複数の注文に同じ商品が含まれる」N:M関係は、間に中間テーブル(注文明細など)を挟んで1:Nの関係2つに分解します。これはER図の設計力が問われる典型場面です。

ER図の3ステップ

エンティティを書き出し、属性を入れ、リレーションでつなぐ3ステップで描けます。

ステップ1 — エンティティを洗い出す

まず業務で扱うデータの種類を全て書き出します。「顧客・案件・商品・取引履歴・社員・部署」のように、現実世界の1つの概念を1つのエンティティにします。最初は重複や粗さがあって構いません。書き出した後で「これは別物として分けたほうがいい」「これは1つにまとめられる」を整理します。10〜20個程度に収まるのが、見やすさの目安です。

ステップ2 — 各エンティティに属性を入れる

次に、各エンティティに必要な属性を入れます。顧客なら「顧客ID(PK)・顧客名・業種・連絡先」のように、業務で使う項目を全て並べます。属性の数が多すぎる場合は、「本当にこのエンティティの属性か?別エンティティに分けるべきか?」を見直します。主キーは必ず1つ決め、他のエンティティと関連付くときは外部キーを設けます。

ステップ3 — リレーションを線でつなぐ

最後に、エンティティ同士の関係を線で結びます。「顧客1人に対して案件は複数(1:N)」「案件1つに対して取引履歴は複数(1:N)」のように、関係の数(1対1、1対多、多対多)を明示します。多対多の場合は、間に中間エンティティを置く必要があります。書き終わったら、関連付いていないエンティティ(孤立データ)がないかを確認します。

ER図を活かすコツ

データの重複発見、システム間連携の検討、業務改善のすべてに使えます。

データの重複と分散を発見する

ER図を描くと、社内に同じデータが複数の場所で管理されているデータの重複が浮かび上がります。「営業部の顧客リストと、サポート部の顧客リストが別物になっている」のような状況は、ER図にしてみないと気づきません。重複が見つかったら、どこを正本(マスタ)にするかを決めて統一する作業が、業務改善の大きな一歩になります。

システム連携と業務改善の地盤になる

ER図はシステム連携の設計にも欠かせません。複数のシステムを連携させるとき、「どのデータを共有し、どのシステムが正本を持つか」をER図で整理してから設計します。業務改善の場面でも、「この業務を効率化するには、どのデータを揃えれば良いか」をER図から逆算できます。データが整っていない業務は、いくら自動化しようとしてもうまくいきません。

まとめ

ER図の描き方と活かし方を解説しました。

  • ER図は、社内のデータ同士の関係を一枚にまとめた図
  • 必要な要素はエンティティ・属性・リレーションの3つ
  • 主キー(PK)と外部キー(FK)でデータの一意性と関連を表す
  • エンティティを書き、属性を入れ、線でつなぐ3ステップで描ける
  • データの重複と分散を発見でき、システム連携や業務改善の地盤になる

これらを理解し、まず主要なマスタ(顧客・商品など)だけで1枚描いてみると、データ管理の課題が一気に見えてきます。ジョブらくでは、データの整理・統合を支援するデータマネジメントコンサルティングを提供しています。「社内データがバラバラで困っている」という方は、お気軽にご相談ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次