状態遷移図とは
状態遷移図は、ものや業務が「どんな状態を経て変わっていくか」を一枚で描きます。
状態の変化を矢印で表した図
状態遷移図は、業務の対象(受注・申請・在庫など)が「どんな状態を経て、何によって次の状態に変わるか」を矢印で表した図です。状態を角丸の矩形で描き、状態間の変化を矢印でつなぎ、矢印に変化のきっかけを書き添えます。業務フロー図が「人の動きの流れ」を描くのに対し、状態遷移図は「対象の状態の変化」を描きます。視点が違うので、得意な場面も違ってきます。
こんな場面で使う
状態遷移図はステータス管理が複雑な業務で特に役立ちます。受注(受付→出荷→請求→入金)、申請承認(申請→上長承認→経理承認→決済済)、在庫管理(入荷→検品→保管→出荷)など、対象の状態が段階的に変わる業務すべてが対象です。状態遷移図がないと「ステータスの呼び方が部署ごとに違う」「途中の状態が抜けている」といった混乱が起こりがちです。
簡単な記号だけで描ける
状態遷移図に必要な記号は、状態(角丸矩形)・遷移(矢印)・始点(黒丸)・終点(二重円)の4つだけです。矢印の上にはきっかけ(出荷した、入金された、など)を書き添えます。複雑な記法は要らず、対象の状態変化が頭にあれば誰でも描けます。
状態遷移図の4つの要素
状態・遷移・始点・終点の4要素で、状態の変化を表現できます。
状態 — 業務の対象がどんな段階にあるか
状態は、業務の対象(受注なら1件の注文)がある時点でどんな段階にあるかを表します。「受注確定」「出荷準備中」「出荷済」のように、現在進行ではなく完了形や進行形の名詞で書きます。状態は角丸の矩形で描くのが慣習で、業務フロー図の処理(動詞)と区別しやすいようになっています。同じ業務でも、状態に注目するか動作に注目するかで描くべき図が変わります。
遷移 — 何によって状態が変わるか
遷移は状態間を結ぶ矢印で、ある状態から別の状態への変化を表します。重要なのは矢印にきっかけを書き添えることです。「出荷準備→出荷済」の矢印には「発送した」、「申請→承認待ち→承認済」の矢印には「上長が承認した」のように書きます。きっかけが書かれていないと、なぜ状態が変わったかが追えなくなります。
始点 — 状態の起点を表す
始点は、状態が始まる起点を表す記号で、塗りつぶしの黒い丸で描きます。受注なら「新規受注が入ったタイミング」、申請承認なら「申請が提出されたタイミング」が始点です。始点を明示することで「この業務はどこから始まるか」が一目で分かり、関係者の認識が揃います。1つの状態遷移図には始点が必ず1つ必要です。
終点 — 状態の終わりを表す
終点は、状態の変化が完了する地点を表す記号で、二重円で描きます。受注なら「入金完了」、申請なら「決済完了」が終点です。途中で離脱する状態(キャンセル・差し戻しなど)にも別の終点を置けます。終点を明示することで「業務がどこで終わるか」が明確になり、終わらないまま放置される状態を防げます。
状態遷移図の3ステップ
状態を洗い出し、順番に並べ、矢印できっかけと共につなぐ3ステップで描けます。
ステップ1 — 状態を全て洗い出す
まず対象が取りうる状態を全て書き出します。受注なら「未確定・受注確定・出荷準備中・出荷済・請求済・入金済・キャンセル」のように、思いつく限り出します。最初は重複や粗さがあっても構いません。書き出した後で「未確定と受注確定は分ける必要があるか」「出荷準備と出荷済は1つでまとめられるか」を整理します。状態の数は5〜10個に収まるのが、見やすさの目安です。
ステップ2 — 状態を順番に並べて始点と終点を決める
次に状態を時系列で並べます。基本は左から右、または上から下です。最初の状態の前に始点(黒丸)、最後の状態の後に終点(二重円)を置きます。途中で抜ける状態(キャンセル・差し戻しなど)は、本流から枝分かれする形で配置します。並べているうちに「あれ、ここから戻る経路があったな」と気づくこともあり、それ自体が業務整理になります。
ステップ3 — 矢印できっかけと共につなぐ
最後に状態間を矢印でつなぎます。矢印の上には遷移のきっかけを書き添えます。「発送した」「請求書を送った」「キャンセル依頼を受けた」のように、誰が/何によって状態が変わるかを明確にします。書き終わったら、矢印が出ていない状態(行き止まり)がないか、矢印が入っていない状態(誰も到達できない)がないかをチェックします。
状態遷移図を活かすコツ
ステータス管理のシステム化と、業務の隠れた抜け道の発見に役立ちます。
システム化の要件として使う
状態遷移図はそのままシステムのステータス管理機能の要件になります。「このボタンを押すと出荷準備中→出荷済に変わる」「キャンセル依頼で受注確定→キャンセルに飛ぶ」といった画面遷移や業務ロジックの設計に直結します。ベンダーに渡せば、画面設計や承認フローの実装がスムーズに進みます。文章で「こういう状態管理がしたい」と説明するより、図1枚で意図が伝わります。
隠れた状態と抜け道を発見する
状態遷移図を描くと、現場では暗黙的に処理されていた隠れた状態が見えてきます。「保留」「差し戻し」「途中キャンセル」など、誰も明示的に管理していなかった状態が浮かび上がり、それぞれをどう扱うかを決めるきっかけになります。また「この状態から戻る経路がない」のような抜け道を発見でき、業務の穴を埋めることができます。属人化の解消にも直結します。
まとめ
状態遷移図の描き方と活かし方を解説しました。
- 状態遷移図は、業務の対象がどんな状態を経て変わるかを描く図
- 必要な要素は状態・遷移・始点・終点の4つ
- 状態を洗い出し、順番に並べ、矢印できっかけと共につなぐ3ステップで描ける
- ステータス管理のシステム化要件として、そのまま使える
- 隠れた状態や抜け道を発見でき、業務の穴を埋める出発点になる
これらを理解し、まず受注や申請などの代表的な業務で1枚描いてみると、ステータス管理の曖昧さが一気に解消します。ジョブらくでは、業務ステータスの設計やシステム化を支援するコンサルティングを提供しています。「ステータス管理が複雑で困っている」という方は、お気軽にご相談ください。


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